和楽器はこんな人にふさわしい!

ならう

これから胡弓がねらい目?

「なにか楽器をやりたい」そう思ったら、あなたはどの楽器を選びますか?

世界中の料理が楽しめるように、多種多様な音楽や楽器が楽しめるようになったこの国・日本において、パスタでもカレーでもハンバーガーでもない、お寿司やすき焼き、ラーメンを選ぶあなたは、和楽器がオススメです。

ピアノにギター、パイオリンやトランぺット…、いろいろあるけど、これからの時代はズバリ!和楽器!!という理由についてお伝えします。

そしてやっぱり、これからは胡弓がねらい目?

こんな人にオススメ!代表的な5つのタイプ

①スタイルを楽しみたい

どんな楽器にも、そこからイメージするスタイルがあります。例えば、ピアノだとクラシック、ギターだとロック、ドラムはジャズ(著者の場合です)みたいな、楽器の背後に浮かび上がるイメージがありますよね。あなたがもし、着物を着て和室でおっとり、時には優雅に、そこから一変して、着物を振りかざして激しく、強く…といった「和」を基調としたイメージを楽しめるならば、和楽器がオススメです。琴や琵琶、三味線や胡弓、笛や太鼓といった和楽器は、日本という風土のなかで育まれた暮らしのリズムや、大和から長く続く世界でも稀な歴史の中で生まれた音をつなぐ「楽(がく)」の世界です(音楽という言葉は明治時代以前はなかった、と言われています。これについては別のテーマで)。「和」そして「日本」という大きなイメージを楽器を通じて感じたい、楽しみたい、というあなたは、和楽器の世界へ、ぜひお越しください。

②海外に住みたい、海外に住んでいる

「グローカル」という言葉が使われて久しいですが、この言葉を借りると「global(地球規模)」で活動したいなら「local(地域)」を知ろう、つまり「海外に行きたいなら、日本のことをもっと知ろう」ということ。あなたがもし日本人なら、海外で活動するときに、日本人であることを証明をする必要に迫られる時が必ずやってきます。必ず、とは言わないまでも、日本人であることをわかりやすく示した方が有利になる場面が多いことに気がつくことでしょう。世界のどこかにいるあなたが和楽器を演奏して、そこに文字通り「和」が生まれるとするならば、あなたの海外ライフはほぼ成功していると言えるのではないでしょうか。音楽は言葉を超え、国境を飛び越える力があります。どんな楽器にも、その力は宿っています。とはいえ、日本人であれば日本の楽器を演奏するのが、最もわかりやすくあなたのアイデンティティーを伝える手段となります。海外に住みたい、行きたい、地球規模で暮らしたい、という方は、迷わず、和楽器です。

③人と同じが嫌い、珍しがられるのが好き

ピアノが最も普及している国は、日本と言われています。習い事の代表格にピアノが挙げられるのは、昭和の高度成長期から今に至るまで、あまり変わっていないようです。大人のピアノ教室まであり、この国のピアノに対する執着は異常なほどです(おそらく学校教育の影響かと)。そんな奔流に違和感を感じたり、人と一緒じゃつまらない、と思っているあなたは、和楽器がオススメです。なんてったって和楽器人口は希少ですから(自虐含み)。

ピアノが弾けるより「お琴が弾ける」の方が珍しがられます。

ギターを弾いているより「三味線を弾いている」の方がみんなが覚えてくれます。

バイオリンを習っているより「胡弓を習っている」の方が驚かれます。

人と同じ毎日が退屈な方、通りいっぺんの経験に飽きはじめた人、周りとは違った時間を楽しみたいあなたは、和楽器を選ぶべきです。

④音楽の授業が苦手だった

「音楽は苦手…」と自己分析する人が、結構な割合でいます。ズバリ、小学校の音楽教育のせいです。その自己分析を単に「音楽の授業が苦手」だった、と置き換えてください。幼稚園や保育園児が音楽にあわせて楽しく踊る姿を想像できる方は多いと思います。みんな、あんな風だったハズです。それを小学校に入ったら、難しい五線譜を読まされ、軍国主義的なクラシック音楽を聴かされ、恥じを忍んで人前で歌わされるうちに「音楽が苦手」と勘違いさせられる人が多いのではないでしょうか。音楽という人生を楽しむためのエッセンスを、小学校で失ってしまった悲劇をくり返さないためにも、ぜひ、和楽器を手にしていただきたい。多様な音楽世界の中で、小学校の学びはほんの一部です。楽器は五線譜が読めなくても弾けます。特に和楽器は、義務教育で教えた西洋音階とは異なるアプローチで構成されています(西洋音階が使われるようになったのは明治時代以降です)。音楽が苦手、と感じている人ほど、和楽器を通じて音楽の楽しさを取り戻して下さい。

⑤コスプレ好き、コスプレをしてみたい

着物を着るだけで、非日常を味わえます。着物をはじめとした和装を身につけるだけで、あなたは大勢のファンを獲得できるコスプレイヤーに変身できます。着物はコスチューム、そして、和楽器は武器です。この2つを身につけると、ハッキリいってあなたは無敵です。コスプレしてみたいけど、ちょっと恥ずかしい、という人も、着物なら胸を張って仮装できます。人から注目を浴びる快感を味わって、いつもと違う自分に変身したいあなたは、和楽器を手にしてください。

そんなあなたにオススメの楽器は?

ひとえに和楽器といっても、色々あります。では、あなたはどの和楽器を選ぶか? 代表的な和楽器(大いに独断と偏見です)を5つの視点から分析して、その特長を挙げました。あなたはどの和楽器に惹かれますか?

・歴史/伝統 もっとも古い「琴」から、最新の「太鼓」まで、和楽器にもそれぞれ歴史と伝統があります。

・流派/スタイル 気に入った流派に属して、築き上げられたスタイルにハマるのも気持ちがいいものです。

・多様性/将来性 伝統にとどまらず、時代にあわせた様々な試みを展開し、将来へ向けた多様な取り組みを行なっています。

・連帯感/仲間意識 楽器を演奏することで得られる連帯感や仲間意識は、他では得がたい極上のものです。

・携帯性 自転車、電車、飛行機、、、演奏には移動が伴うとすれば、どうしても気になるところ。

弥生時代の遺跡から発掘されているほど、日本で最も古い弦楽器。奈良時代に雅楽とともに中国から「箏(そう)」が伝わって以来、宮廷楽器として日本の歴史を彩ってきた。江戸時代に再興され、生田流と山田流の2つのスタイルが確立され、現在に至る。

笛・尺八

奈良時代から雅楽で使用されてきた龍笛(りゅうてき)や篳篥(ひちりき)から、歌舞伎で使用される能管や篠笛、全国各地の祭りで使用される横笛など幅広いが、特に尺八は日本独自の価値観があり、世界でも人気がある。

琵琶

奈良時代からあり、日本でももっとも古い弦楽器。平家琵琶、盲僧琵琶、薩摩琵琶、筑前琵琶があり、それぞれ独自の歴史や奏法を重んじることから、同じ琵琶でもなかなか相入れないことも。和楽器のとしての独自性はピカイチ。

三味線

江戸時代の長唄三味線から、昨今の津軽三味線まで400年かけて少しずつ進化を続けている和楽器。ジャンルによってスタイルが異なる、というより、時代に応じて様々なジャンルが生まれて、その時代の人々によって愛され続けている和楽器。

和太鼓

舞台芸能としては、わずか半世紀ほどの新しい和楽器。リズムと様式を組み合わせたシンプルで力強い展開で、世界で最も知られる和楽器に急成長。世代の変わり目で、今後どう展開するかによっては、さらに成長するか?あるいは、収束するか?注目されるところ。

そんななか「胡弓」がオススメの理由

伝統芸能の世界において「流派」という言葉をよく耳にすることでしょう。これは伝統を継承する仕組みとして、日本独自のシステムで、日本人の「性(さが)」なのでしょうか、群れたがる、他と異なる線引きをしたがる、という状況を生みやすい性格があります。「かつては」とか「家元が」など引き合いに出されると、日本人はついつい同調しちゃうんですよね。そのために連帯感が強まり、特異な芸能を今日まで受けつくことができた、という功績がある一方で、周囲と交わり難いシステムを構築してしまう一面を生みやすいのが、この「流派」という仕組みです。多くの和楽器は、この「流派」と切り離して考えずらい一面があり、純粋に和楽器を楽しみたい、という真っ直ぐな思いが、「流派」によって犯される局面が稀に(かつては、よく)あります。歴史がまだ浅い和太鼓や津軽三味線、沖縄三線にも「流派」が形成されつつあり、この組織体が心地よい人々にとっては良いですが、そうでない人にとっては、ちょっと煩わしい時があります。その点、胡弓は歴史は長いようで浅く、今のところ胡弓における「流派」は存在していません(他の芸能と結びついて流派を名のるものはあります)。流派を気にせず、純粋に和楽器を楽しめるのが胡弓、これからまったく新しい時代を切り拓けるのが胡弓の魅力、といっていいのではないでしょうか。胡弓は流派に関係なく自由に演奏してよし、一方で、もしなりたければ、家元にもなれる?それが胡弓という楽器です。

ちなみに、胡弓をチャートで表わすと、こんな感じ。すべて筆者の独断であることをお許しください。

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