家元のように弾きたいか? 自分らしく弾きたいか?

ならう

胡弓教室に通いたい!
そう思って教室を探しても、巷にあるのはピアノ教室ばかり…?!
やっと見つけた教室に行ったら、思っていたものと違っていた!
そんな悲劇にならないために、教室を選ぶときの指針についてまとめてみました。
和楽器の教室を選ぶときは、注意しなければいけない大切なポイントがあります。

伝統楽器は「伝統」を選ぶか、「楽器」を選ぶか?

楽器を弾きたい!と思ったら、みなさんはまず、何をしますか?

❶ 楽器屋に行く
❷ 本屋に行く
❸ 教室を探す
❹ YOU TUBEを見る

など、いくつか選択肢はありますね。さて、胡弓に置き換えてみると、

❶ ほとんどの楽器屋は「洋楽器屋」。
胡弓などの和楽器は、オーダーすれば取り寄せれる(かもしれない)が、和楽器の知識があるスタッフが少なく、買ったらいいものの、どう扱っていいのか?わからない。

❷ 楽器の教則本や譜本は多く出版されているが、こちらもほとんどが「洋楽器」の専門書。
胡弓だけでなく、三味線や尺八といった和楽器について、ほとんど書店では取り扱っていない。

 巷の教室はピアノばかり
胡弓教室があれば、超ラッキー。(10年後は事情が変わってる!かもだけど)

❹ 胡弓を検索したら中国「二胡」ばっかり。

違いを認識しておかないと、間違った情報に誘導されるから注意が必要。このサイト「みる」を参考にしてね。

こうやってみてると、「胡弓を弾きたい!」という願いは叶わない…???いやいや、そんなことはありません。
インターネットで丁寧に検索してみてください。日本のどこかに胡弓教室はからなず!あります。
そして、こんなご時世ですもの、リモートレッスンもやってます。「弾きたい!」という思いは、このネット社会が必ず叶えてくれます。ネットで「胡弓」と検索したときは、くれぐれも「二胡」と間違わないように注意してね(2024年現在、「胡弓」の検索に対して、検索結果の上位表示の半分以上が「二胡」を占めています)。

インターネット検索でいくつかの教室が表示されたとしましょう。そこからどの教室を選ぶか? 
その指針について、一緒に考えてみましょう。

伝統を学ぶとは

ここで提案する最初の指針は、胡弓という伝統楽器を弾きたいあなたは、

「伝統」を学びたい? それとも「楽器」を学びたい?ということです。

これはすべての伝統楽器に同様に言えることなのではないかと思います。
胡弓が日本の伝統楽器である以上、この考え方は、必ずおさえておく必要があるので、お伝えしておきますね。

わが国に伝わる伝統楽器の多くは、家元を頂点とする「流派」によって、今日まで伝承されてきました。
琴においては「生田流」「山田流」、尺八なら「都山流(とざんりゅう)」「琴古流(きんこりゅう)、三味線なら「杵屋(きねや)流」「藤本流」といったことを聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
これは、流派という名前のもとに、その頂点に位置する家元の弾き方や考え方を伝承する組織、ということになります。
つまり、楽器の弾き方そのものを学ぶ、というよりも、家元の弾き方を学ぶ、という言い方ができます。
異なる考え方をお持ちの方もいらっしゃるとは思いますが、流派とはそういう考え方を原則としているということでご理解ください。

芸は教わるものではなく、盗むもの」という日本古来の考え方に基づくもので、楽器の弾き方を「理屈抜きに真似てきた」という歴史に背景があります。

師弟関係においては「どうしてこう弾くのですか?」と尋ねるのは愚問であって、答えはただひとつ「家元がこう弾いているからです」ということになります。
流石にこんな会話はなくなってきていると思いますが、そういう歴史の上に「伝統楽器」がある、ということを理解しておくのが大切です。

伝統楽器の「伝統」を学ぼうという方は、少なくともこのような歴史や習慣を許容したうえで「伝統」を学ぶ、ということになります。
理屈が面倒な方にはうってつけ、です。
日本が古来から育み作り上げてきた「スタイル」を学び、自身をその一部に置くことは、日本人としての矜持が掻き立てられる心地よさがあります。
「伝統」を学びたい方は、この「流派」を見極め、その「家元」と「このようになりたい」と自分とを重ね合わせて、教室を選ぶようにしましょう。

楽器を学ぶとは

一方、伝統楽器の「楽器」について学びたい人は、「伝統」が育んだスタイルを学ぶだけでは、モノ足りないことがあるかもしれません。

「どうしてこう弾くのですか?」という質問に対して、「楽器」を学びたい人は、合理的な答えを求めるからです。

ただし多くの伝統楽器の場合、「流派」によって伝承されてきているので、「〇〇流」という肩書きをもたない先生が少ない、というのが2024年現在の和楽器教室の現状です。

なので、伝統楽器を「楽器」として学びたい人は、仮に気になる先生が「〇〇流」という看板をもっていても、こう尋ねてみてください。

「大変な無礼を言いますが、私が知りたいのは楽器の弾き方です。家元の弾き方ではなく、私にあった弾き方を教えていただくことはできますか?

ミスマッチの悲劇

「伝統」か「楽器」か、答えは人それぞれです。

いつのまにか師弟関係から逃れられない場合も、

どちらも学びたい、という方は、どちらも教えてくれるハイブリッドな先生を選ぶべきでしょう。
ここで注意したいのは、和楽器の業界では一旦、師弟関係を築くと、そこから抜けられない場合がある、ということです。
いつの間にか「流派」という波に飲み込まれて、翻意ではない曲を弾くことになったり、逆に、いつまでも弾きたい曲が弾けない、という理屈がまかり通る時代が長くありました。
この消費者本意ではない習慣が、和楽器の衰退を招いたといっても過言ではありません。

家元のように弾きたいか? 自分らしく弾きたいか?

幸か不幸か、今のところ胡弓は、この流派を名のる方はあまりいません

流派のような継承する仕組みがなかったがために、絶滅危惧種になったともいえます。
また、津軽三味線や沖縄三線がそうであるように、新たな時流にのって、日本古来の伝承方法である「〇〇派」を名のる家元がこの先に登場する可能性もあります。

どの先生に就くか? 迷った時は、こう自分に問いかけてみてください。

「あの家元のように弾きたいか? それとも、自分らしく弾きたいか?」。

心が動いたほうが、あなたにとっての答えです。

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