おわら胡弓ってどんな胡弓?—調弦・チューニングー

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胡弓にはジャンルがある

胡弓という楽器には、大きく分けていくつかのジャンルがあります。
地唄(じうた)胡弓は、お琴や三味線とともに演奏される室内楽の世界です。
胡弓のための楽曲もわずかながら残されており、もっとも古い演奏スタイルのひとつといえます。
天理胡弓(てんり)は、天理教の式典の中で使われる胡弓です。
宗教的な儀礼の場で受け継がれてきた、独自の系譜を持ちます。
そして民謡。おわら節をはじめ、麦屋節(むぎやぶし)やせり込み蝶六(せりこみちょうろく)といった富山の民謡で使われる胡弓がこれにあたります。
同じ「胡弓」という名前でも、ジャンルによってさまざまです。

おわら胡弓の特徴

おわらで使われる「おわら胡弓」は、地唄や天理の胡弓とは異なる点がいくつかあります。
まず、棹(さお)が長い。地唄などで使用される小胡弓と比べると、棹が長く作られています。
そして、中子(なかご)も長い。
中子とは、胴と棹をつなぐ内部のパーツのことです。
おわら胡弓の中子が長いのには理由があります——おわらの演奏には、立って弾く立奏というスタイルがあるからです。
立奏の際は、身体に紐を結び、その先端で輪をつくります。輪の中に中子の先端を入れて演奏するのですが、これは町流しをするためにこのスタイルになったのではないかと想像されます。町流しの列の中で、踊り手とともに歩きながら演奏する——あの情景を思い浮かべると、立奏に対応した楽器の設計であることがよくわかります。
さらに、弓は短く、軽量なものが使われます。繊細な音のコントロールと弾きやすさ、そして長時間の演奏に耐えるための工夫です。

▷立奏の様子

おわら胡弓の調弦——五本三下り

胡弓では一般的に、三下り(さんさがり)の調弦が使われます。三下りとは、三味線でも使われる調弦のひとつで、本調子を基準として三の糸(もっとも高い弦)を三音下げたチューニングのことです。この調弦によって生まれる独特の響きが、おわら節のあの哀愁ある音色の土台になっています。
地唄の胡弓では曲ごとにさまざまな調弦が使われますが、おわら節の胡弓のチューニングは三下りです。ちなみに三味線は本調子で演奏します。
そして、キーも原則として決められています。八尾でおわら節が演奏される際、基本のキーとなるのが五本です。
五本というのは三味線や胡弓のキーの呼び方で、一の糸の音の高さを表しています。数字が大きくなるほど、音は半音ずつ高くなります。

 五本の本調子 C#・F#・C#(三味線のチューニング)
 五本の三下り C#・F#・B(胡弓のチューニング)

三味線や胡弓は伴奏楽器であり、唄い手の声域に合わせてキーを上げ下げすることができます。カラオケのキー調整と同じイメージです。ただし手の位置などは変えず、弦そのものの音の高さを変えることで対応します。
基本のキーは五本ですが、半音高い六本で演奏している町もあります。風の盆にいらした際は、ぜひ耳を澄まして聴き比べてみてください。

胡弓の音色に、もっと触れてみたい

おわら風の盆は、9月1日〜3日のわずか三日間だけ。
でも、胡弓の音色はその三日間だけのものではありません。
このメディアサイトを運営している「楽家」では、胡弓や三味線について、演奏・歴史・楽しみ方をさまざまな角度からお届けしています。
おわら風の盆をきっかけに胡弓に興味を持った方も、ぜひほかの記事も覗いてみてください。
また、胡弓を弾いてみたい&学びたい方向けに、東京と富山にて教室も開講しています。
八尾町育ちの胡弓奏者が、おわらの音楽を一から丁寧にお伝えします。
あの夜の音色の秘密を、一緒にひもといていきましょう。

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