胡弓はチューニングしなくてもはじめられる?

ふれる

弦楽器はチューニング(調弦)が整っているのが、大前提。
これが狂っていると、何を弾いてもイマイチ、ということになる。
おおよそ弦楽器の教則本をみると「チューニングの仕方」が冒頭に載っているは、そのためだ。ところが、このチューニングという作業が、結構、大変。初心者のなかには「さあ、弾こう!」と思っても、チューニングでつまずいて、早速、挫折、という人も少ないはいのでは?

さて、このチューニングについていうと、胡弓は他の弦楽器に比べて、圧倒的に有利、である。なぜなら、三本しかないから!
弦が6本あるギターと比べて、チューニングの手間が半分で済むのだ。しかも初心者は、細い糸(三の糸)を使うことが多いので、調弦をしなくてもはじめられる!と言っても過言ではない。胡弓のレッスンを調弦をせずにはじめる、その方法をお伝えします

細い糸だけではじめよう!

音を出すには、糸がある程度、ピンと張っていることが必要。ある程度、というのも難しいところだが、指でピンとはじいて「pin!」と軽快な音が出れば、それでよい(笑)。
まずは細い糸(3の糸)だけ、ある程度の張力とともに、pin!という音を感じるまで、糸巻きを回しあげてみよう。あまり回しすぎると糸が張りすぎて切れてしまうので注意が必要。とはいえ、一度は切ってみるのが、張りすぎかどうか?を見極める近道ともいえる。そう簡単には切れないと信じて、糸が軽快に振るえるまで、糸巻きを回しあげてみて。(糸巻きの回し方については、別の項目を参照ください)

糸巻きを固定したら、その音を「ドレミファ」の「ド」と仮定しよう。これは「移動ド」と呼ばれ、音を絶対音感ではなく「相対音感」でとらえる考え方。絶対音感と違い、多くの人がすでに身についている音感とされているので、これを読んでいる多く方は自信をもってください(逆に絶対音感を持っている人は、ここから先は読まないでね)

おさえる場所を番号で示す「譜尺」。自分で音を見つけて書くのほうが練習になるのでオススメ。

その「ド」を起点に、「ドレミファ」と鳴らしてみます。左手の人差し指を内側に曲げて、細い糸の上をスライド。右手は弓を持つ前に指で弾いてみて。糸をおさえる左手の場所によって、音が変わることがわかるよね。棹に譜尺(ナンバーシール)を貼っている場合は、「ド=0(何も押さえない)レ=2、ミ=♯、ファ=4」ということになります。逆に貼ってない人は、自分の耳で音を見つけて、「ド(何も押さえない)レ、ミ、ファ」と手書きでシールを貼ってみよう。そして、この4つの音を使って、基本練習をスタートさせよう。つまり、調弦は後回し。胡弓を弾きたくて胡弓を買ったわけだから、とにかく、弾きはじめましょう

ここからは、右手=弓の練習です

細い糸における「ドレミファ」がわかったところで、いよいよ右手=弓を入れていこう(弓の持ち方は、別項目を参照してね!ここでは、練習の仕方のご説明)。

弓のスタートは、原則「引き」です。

ピンと張った馬毛を糸に着地させて、スゥ~ッと、引いてみよう。
左手は何もおさえない、つまり「ド(移動ド)」の音だ。馬毛の根元から先端までを目一杯使ったら、次は「押し」にスイッチ。
「引き」とは逆に、馬毛の先端から根元までを目一杯使ったら、再び「引き」に、そして「押し」…のくり返し。


この「ド」がブレずに、安定して発音するようになるまで、引き&押しをくり返し、そろそろいいかなあ、と思ったら、左手の人差し指で「レ=2」の位置をタッチ…というより、スマホの「タップ」といった方がいいかな。左手は決して糸を強く押す必要はなく、軽く「タップ」するだけでOK。レの音が安定して出るようになるまで、押し&引きをくり返そう。レの押し&引きが安定すれば、次は「ミ」、次は「ファ」といった具合にやるのが、オススメの基本練習。胡弓をはじめて手にしたとき、調弦に時間をかけるより、先ずこの基本練習に取り組む方が、胡弓をはじめましたー、という実感がわくのでオススメです。

右手=発音を大事にしながら、その先へ

どんなに優れた音響装置であっても、スピーカーがイマイチだと、音が心地よく響かないように、どんなに高級で優れた胡弓でも、弓の押し引きがイマイチだと、音は心地よく響きません。右手、つまり、弓はスピーカーと同じ。左手の上達に取り組む前に、右手=弓を整えるのが、上達の近道。だから左手は、さしあたり「ドレミファ」で充分。簡単な左手の動作をくり返すことで、右手の練習に集中しよう。とはいえ、あまりに退屈すぎては、練習もはかどらない。ドレミファの先へ、つまり、「ドレミファソラシド」と、音をみつけていこう。くれぐれも無理のない範囲で、右手の練習であることを忘れずにね。

「ドレミファソラシド」がわかれば、調子にのって!なにか1曲、と弾きたくなるのが人情。簡単なところで童謡「チューリップ」や、「キラキラ星」等を弾いてみるのもいいかもね。そう、調弦をしなくても、細い糸だけで、胡弓は曲が弾けてしまうのだ。この先、どれだけ上達しても、この仕組みは同じ。胡弓は、メインのメロディーをほぼ細い糸で弾く楽器。だから、調弦は後回しにして、まず細い糸だけで練習するというの理にかなっている、というわけです。

もちろん、調弦は大事です

あくまで、はじめて胡弓を手に取った人が最初にするべきことは調弦ではないよね、という意味であって、もちろん、調弦は大事です

弦楽器である以上、調弦は宿命。
ただし、ここでも絶対音感的な考え方ではなく、相対音感的な考え方が大切。細い糸が「ド」であるかどうか?うんぬんより、3本の糸のバランスが求められるのが、胡弓の調弦に対する考え方の基本となります。そういう意味でも、胡弓を手に取ったその時から、「ドファドにあわせましょう」云々というより、まずは弾くという実践を優先しよう。調弦に関する詳しい説明は、別項目を参照してね!

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